O.Yの読書感想文

月平均4冊しか読まないにわかですが、自分なりに読んだ本の感想まとめています。

「魔眼の匣の殺人」を読んで

魔眼の匣の殺人

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作者 今村昌弘

出版社 東京創元社

あらすじ

その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

・この先では前作の屍人荘の殺人のネタバレが含まれているので絶対に屍人荘の殺人を読んでからこの先を読んでください

 

前作のブログ

oy002.hatenablog.jp

 

感想

屍人層の殺人の続編にあたる

今回の作品は前作に引き続き

しっかりとしたミステリーながら

現実ではありえないファンタジー要素が

融合してしまったという作品

 

前作のゾンビパニックから

今作では未来予知と

若干ファンタジー感が

スケールダウンしたような

気がしていましたが

その代わりに前作よりも

ミステリー感が強かったと

思います

 

未来予知能力を持つ預言者によって

予言された事象は必ず起きる設定から

出た予言は「男女2名ずつが亡くなる」

この絶対的な予言の中

村唯一の橋が焼けてしまい

クローズドサークルになってしまう

疑心暗鬼になった中突如

ある事故によって一人がなくなって

しまいます

 

他の作品のミスリード

ような未来予知では

ない絶対的な予言として

理解した状態で進む

ストーリーは前作と

同じような独特な雰囲気

の中で繰り広げられ

前作の葉村君と比留子さん

もメインで登場するので

前作が好きだった人には

オススメです

 

個人的には屍人荘の殺人よりは

インパクトが弱かったものの

前回よりもしっかりとした

王道ミステリー感と

最後のどんでん返し要素も

良かったので思ったよりは

面白かったです

 

次は待ちにまった兇人邸の殺人

ということで楽しみに

読んでいこうと思います

 

「流浪の月」を読んで

流浪の月

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作者 凪良ゆう

出版社 創元文芸文庫

あらすじ

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

苦しい生活の中逃げ場を求めた

少女はある男の家についていく

決断をするがその男は

少女に手を出すことはなく

彼女はその部屋で自由を手に入れた

ある日その男は少女を誘拐した罪で

捕まってしまう

その後大人になった少女は喫茶店

その男に出会う物語

 

今年始まってから読んだ作品の中で

僕がダントツに好きと思える作品

だったと思いますしそれくらいこの2人

の関係が好きなんだなと思いました

 

優しいからこそ相手のことを

考えすぎて結果自分が

ボロボロになってしまう

その結果登場人物のほとんどが

優しいのに警察沙汰になったり

病院送りになったり絶望してしまう

人と関らないと生きていけない世界は

こんなにも生きにくくて

こんなにも悲しいんだ

そう思えた作品でした

 

どんな事実があっても

世間は勝手に干渉してきて

イメージをつけて簡単な言葉で

人を判断してしまいます

ロリコン

その一言で何もしていない人でも

犯罪者予備軍というレッテルを貼られて

見下される対象になって

簡単に気持ち悪いと思えてしまう

最近では同性愛者やオタクを筆頭に

世間的なそういうイメージは

だんだんと薄くなりつつ

ありますが

きっと完全になくなることは

ないでしょう

 

こういうものが間違ってるから

変えてしまおう

こんな考えは間違ってる

この作品はそれを伝えているわけでは

なくこういう事があるから生きずらいよね

とかここはもう見切りをつけて

行くしかないよねという

 

世間は変わらないんだから

できるだけポジティブに

捉えた方が少しは

生きやすくなるよ

そんな思いがあったのかな

なんて今は考えてます

 

個人的に物凄く引き込まれて

一気読みしてしまったので

かなり読みやすいとは思いますし

読み終わった後の爽快さも

物凄くあるので

本当にオススメしたい一冊でした

是非読んでみてください

 

 

 

「さよなら妖精」を読んで

さよなら妖精

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作者 米澤穂信

出版社 創元推理文庫

あらすじ

1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。『犬はどこだ』の著者の代表作となった、清新な力作。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

最近になって時計館の殺人を読み

米澤穂信さんの解説に感動し

古典部小市民シリーズ以外も

読んでみようかなと

思って手を出してみた

作品でした

 

最初はマーヤという存在や

ユーゴスラビアの話が難しくて

米澤穂信さん青春ミステリーの

割には読みにくいなと思ったり

この展開からどう推理にもっていくんだろう

と思っていましたが

しっかり序盤から伏線が張られた謎が

最後にしっかり出てきて

それを解くことによって

ひとつの結末が見えてくる

というのも良かったです

 

ちょうどこの本を読んでいる間に

ある国の大規模侵攻によって

多くの人が亡くなっているという

ニュースが毎日放送されていたり

最近僕がマブラヴオルタネイティブを

というゲームにハマっているのも相まって

かなり感情移入してしまいました

 

どんなに平和な国でも相手が仕掛けて

きたら戦争は起こってしまいます

自分が今こうして

どこか他人事に思えるほど

戦争を遠く感じているのが

どこまでも奇跡的なことなのかを

思い知らされた気がします

 

日本に住んでいるからこそ

見えづらくなってしまっていますが

今でも戦争をしている国もあって

それによって多くの人が当たり前に

死んでいるそんな現実が

今でも普通に行われている

国があるそれだけは

忘れないで生きていきたいな

と思いました

 

今読むとかなりタイムリーに

感じると思うので

是非今読んでほしい一作でした

この先にも続編作品が

あるそうなので後々読んでいきたいと

思います

 

最後にマーヤの言葉で一番心に残った

言葉を残しておきます

「人間は、殺されたお父さんのことは忘れても、奪われたお金のことは忘れません

 

 

 

「時計館の殺人」を読んで

時計館の殺人

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作者 綾辻行人

出版社 講談社文庫

あらすじ

鎌倉の外れに建つ謎の館、時計館。角島(つのじま)・十角館の惨劇を知る江南孝明(かわみなみたかあき)は、オカルト雑誌の“取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜、忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内ではそして、恐るべき殺人劇の幕が上がる! 不朽の名作、満を持しての新装改訂版。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

綾辻行人館シリーズ最高傑作と

名高い作品でありながら

十角館の殺人で登場した江南くんが

再登場するというあらすじから

かなり高い期待値で読み始めました

 

読み始めると

舞台の館が旧館と新館に分かれていて

河南たちが入った殺人事件が起きる旧館と

島田たちが過去の謎を解いていく新館との

同時並行で内容が進められていき

読んでいて十角館の殺人

面影を一番感じた作品だったと思います

 

まず読んで観て思ったのは

今までの館シリーズを超えてくるような

どんでん返しを期待して読むとあまり

楽しめないということです

僕もそうですがミステリー作品を

どこか自分の想像を壊してもらうもの

として読んでいる人もいると思います

特に今までの館シリーズにハマった人は

多いかもしれません

しかし今回の時計館の殺人では

そういう要素は薄いですし

今のミステリーを知っている人で

勘が鋭い人ならば

犯人は誰なのかどういうトリック

を使ったのかというのは案外解けて

しまうと思います

 

ではこの作品の何がすごかったのか

それはホワイダニット(なぜ殺してのか)

に集約されていると思います

犯人と犯行方法とはられた伏線が

重なり合ったとき隠れていた

恐ろしい真実がわかるのですが

この真実が本当に良くできていて

すべてが伏線が重なりあう瞬間が

本当に最高でした

 

そして本編を読み終わった後に

新装改訂版解説の米澤穂信さんの

解説のこの作品は誰の物語かという語りを

読んでみるとこの作品の全く違う視点が

みれると思うので解説は絶対読んでください

 

ということで

今までの館シリーズのどんでん返し要素が

好きな人というよりは本当にミステリーを

好きな人におすすめの館シリーズだったと

思います

 

しかし館シリーズの中でも個人的に

一番続編感を感じたので

上下巻があり少し長いですが

今までで一番読みやすいですし

基本的に館シリーズが好きな人なら

誰でも楽しめると思うので

人形館の殺人まで読んだうえで

時計館を読んで観てください

そして是非読むときには

ホワイダニットまで推理して

みてください

 

前回の人形館の殺人の感想

oy002.hatenablog.jp

 

 

それでも僕はやっぱりどんでん返しが

好きなんでまだ個人的の1位は

迷路館の殺人でした

 

次は黒猫館ということで

そろそろ4巻もあるシリーズが

見えてきました

楽しみながらマイペースに

追っていきます

 

 

 

 

 

 

「仮面病棟」を読んで

仮面病棟

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作者 知念実希人

出版社 実業之日本社文庫

あらすじ

怒濤のどんでん返し、一気読み注意!!
強盗犯により密室と化す病院。息詰まる心理戦の幕が開く!

療養型病院にピエロの仮面をかぶった強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。
先輩医師の代わりに当直バイトを務める外科医・速水秀悟は、事件に巻き込まれる。
秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る――。
そして「彼女だけは救いたい……」と心に誓う。
閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。迎える衝撃の結末とは。

作家・評論家の法月綸太郎が「閉鎖状況の謎に挑戦してほしい」
「クリアでエッジの立った解決と苦い読後感」と語る注目作。
現役医師が描く<本格ミステリー×医療サスペンス>。
人気急上昇の新鋭ミステリー作家、初の文庫書き下ろし!!

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

コンビニ強盗を犯したピエロの仮面を

した男が病院内に侵入しその男によって

作り出されたクローズドサークル内で

奇妙な現象や殺人事件が起きていく

サスペンス×ミステリー作品

 

強盗犯によって作り出された

クローズドサークル内で

どうして警察を呼ばないのか

から始まる不可解な行動の

ひとつひとつがその先の展開の

伏線となっていて

読み終わったときの感動が

物凄かったです

 

推理するべき箇所が多数存在していて

ピエロは何をしたいのか?

病院は何を隠しているのか?

殺人の犯人は誰なのか?

などひとつが推理できたとしても

その先にあるほかの箇所も

良くできているので

ミステリー特有の犯人がわかって

しまってあまり楽しめないという

ことがなく

楽しんで読めると思います

 

そして何よりも読みやすいです

展開が始まってしまったら

ページをめくる手が止められない

という現象を他の作品の中でも

感じやすいほうだと思います

仮面病棟以外にも

知念実希人さんの作品は

比較的に読みやすいものが

多いので普段読書をしない人や

読書が苦手な人は

この人の作品から手を出していくと

いいかもしれません

 

この作品も続刊が出ている

そうなのでまたいつか

読んでみたいと思います

 

 

 

 

「星降り山荘の殺人」を読んで

星降り山荘の殺人

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作者 倉知淳

出版社 講談社文庫

あらすじ

雪に閉ざされた山荘。そこは当然、交通が遮断され、電気も電話も通じていない世界。集まるのはUFO研究家など一癖も二癖もある人物達。突如、発生する殺人事件。そして、「スターウォッチャー」星園詩郎の華麗なる推理。あくまでもフェアに、真正面から「本格」に挑んだ本作、読者は犯人を指摘する事が出来るか。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

雪の山荘、クローズドサークル

読者への挑戦状、大どんでん返しと

ミステリーが好きなひとがとりあえず手に取る

要素がふんだんに含まれた作品でありながら

コメディ要素も多いため

普段ミステリーを読まない人にも

オススメできる作品です

 

序盤から「作者からのメッセージ」があり

主人公は犯人じゃないや

ここに伏線が含まれているなどが書かれ

推理するところで助けとなる文が

章の初めについていて構えながら

読むことができますし

最後にはしっかり騙されてしまう

仕掛けもついていて本当に素晴らしい作品だと

思います

 

序盤のキャラ紹介や複線をはってるところは

ミステリー特有の読みにくさがありますが

そこさえ超えて事件に入ってしまえば

一気に読むことができる作品なので

500ページを長い作品ではありますが

是非読んでほしいです

 

 

 

 

 

 

 

「みんな蛍を殺したかった」を読んで

みんな蛍を殺したかった

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作者 木爾 チレン

出版社  二見書房

あらすじ

――みんな誰かを殺したいほど羨ましい。

美しい少女・蛍が線路に身を投じる。
儚く散った彼女の死は後悔と悲劇を生み出していく――


「女による女のためのR-18文学賞」優秀賞受賞者である著者が、原点に立ち返り、少女たちのこころの中に巣くう澱みを鮮烈な感性で抉り出す。

京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通うオタク女子三人、校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。
そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してきた。
生物部とは名ばかりのオタク部に三人は集まり、それぞれの趣味に没頭していると、蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。
次第に友人として絆を深める四人だったが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。
真相がわからぬまま、やがて年月が経ち、蛍がのこした悲劇の歪みに絡めとられていく――

少女の心を繊細に描く名手による初のミステリ作品

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

最初から主要キャラ七瀬蛍が駅のホームに

飛び込み死んでいることが発覚して

彼女がどうして死んでしまったのかを

過去にさかのぼり語られていく作品

 

まず最初に言えることはミステリ作品では

なく青春作品だということです

確かに蛍の死について推理することも

あると思いますが基本推理しても

わかるようには作られていませんし

後半でこの部分はめちゃくちゃにされるので

青春作品として読んでみてください

 

作品自体は全体的に暗くドロドロとした印象で

生物部に所属するオタク3人が蛍の出現により

今まで耐えてきたものが

耐えきれなくなってしまう

ことが基本的なシナリオで

ほとんどまともなキャラは登場しないので

どんどんと沼にはまっていきます

 

個人的にはこういうストーリーは好きなので

問題はなかったんですが

ひとりひとりの問題が母親や兄弟に

集中している気がしたり

コンプレックスも顔面が醜いが必ず根底に

ある気がしてあんまりしっくりは

来なかったです

 

あとこの作品ではオタクを現実から逃げた人と

書かれているような気がして

オタクヘイトが辛い人にはきついのかなと

思いました

 

作品世界に入り込みやすく

すぐ読めてしまったことは良かったですが

最後の展開がポンポン行き過ぎているのと

さっき書いた通り微妙に納得のいかないところ

が多くあるように思いました

人が不幸になる作品が大好きというひとは

読んで観ると良いかもしれません