子供たちは夜と遊ぶ
作者 辻村深月
出版社 講談社文庫
あらすじ
始まりは、海外留学をかけた論文コンクール。幻の学生、『i』の登場だった。大学受験間近の高校3年生が行方不明になった。家出か事件か。世間が騒ぐ中、木村浅葱だけはその真相を知っていた。「『i』はとてもうまくやった。さあ、次は、俺の番――」。姿の見えない『i』に会うために、ゲームを始める浅葱。孤独の闇に支配された子どもたちが招く事件は、さらなる悲劇を呼んでいく。
⚠️注意⚠️
・あくまで個人の感想です
・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します
感想
幼少期にトラウマを抱えた青年木村浅葱が
自分の人生の中の唯一の救いであった兄の藍に会うために
他人を、知り合いを、友達を巻き込んでいく
殺人ゲームの物語
なぜ『i』は浅葱にゲームを仕掛けるのか?
なぜ浅葱は『i』に執着するのか?
『i』は本当に兄なのか?
物語が進んでいくごとに深まっていく謎が
気になるので上下巻あるとは思えないペースで
読み終わりました
この物語のほとんどのキャラクターは
もう成人を超えていて、自分のその先の人生と
向き合い大人として生きています
しかしこのタイトルは子供たちは夜と遊ぶです
年齢的に子供はいないのにこの物語には
このタイトルがついています
大人になるとは子供でなくなることではないのだと
この物語を読んで思いました。
二十歳を超えても、昔の古傷は癒えないし、
新しい傷を作るのがどんどん怖くなります
でも精神はあの時と大して変わらないし
持っているものもあの時と大して変わりません
でも周りからは大人になることを求められる。
そういう人生の中で助けてくれるものがあるかないか
その違いがこの物語の根幹にあった気がします
「人生ってのは暇潰しなんて生易しいもんじゃない。楽することは許されない、必死になれよ。簡単にはリタイアさせてもらえないよって」
この言葉を彼から聞けたのが何よりも嬉しかったです
良い物語でした。最高。
それでは