O.Yの読書感想文

月平均4冊しか読まないにわかですが、自分なりに読んだ本の感想まとめています。

「汝、星の如く」を読んで

汝、星のごとく
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作者 凪良ゆう

出版社 講談社

あらすじ

ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

今一番好きな作家凪良ゆうの最新作

発売日に買ったのに存分に楽しむために

に一日なんの予定がない日まで待ってから

読んでみましたが相変わらず最高でした

 

ネグレクトで女を捨てられない母親に

振り回されながら必死にあがく櫂と

父親が家を出ていき少しずつ

おかしくなっていく母親を支えながら

自分の気持ちを抱え込む暁美

二人が出会って分かれてまた出会う

切なくも暖かい恋の物語

 

この作品を読んで改めて

大人って何なんだろうと感じました

この作品に登場する主人公の親たちは

親でありながら子供が支えられる側でなく

支える側と立場が逆転しています

暴走する親の心に寄り添いながら

機嫌を伺い必死に親を止めようとする

主人公たちの方が親よりも大人に見えます

 

しかし、彼らもまた幼く大人とは違う弱さを

持っています

最初はこういう家庭だから子供が大人の

ようにならなければならないのかもしれない

と思っていましたが

自分にもそういう一面が

あることに気づきました

僕の親は自分の中では最高の親だと思っていて

自分が大学に通う費用を

全部払ってもらえるまで稼ぎ

毎日働いてくれる父親と

僕の面倒を見てくながら僕の趣味を止めずに

一緒に楽しもうとしてくれる専業主婦の母親

裕福ではないですが自分の家庭に不満を

持ったことはないです

そんな僕でも疲れて帰ってきた父親や

祖母に振り回された母親の愚痴を聞くときに

彼らのように様子をうかがっています

親の気持ちが爆発しないように

過度に否定せず、肯定する

どんな家庭でも子供である以上

こうしている子供は多くいるのでは

ないでしょうか

 

20歳成人から18歳成人に変わり

19歳の僕も大人になったわけですが

お酒もたばこも解禁されない今

自分が大人という自覚はまったくないです

自分が尊敬する大人や親でさえもでも

大人とは呼ばない弱さを誰もが持っています

 

20歳になれば大人なのか?

自分のお金で自分を支えれれれば大人なのか?

親になれば大人になれるのか?

法律上では18歳を超えれば大人ですが

皆の意見はきっと違うと思います

 

年齢で大人が決まるのだとすれば

まだ責任も社会もわからない18歳でも

いまだに自立できない

40歳でも大人になりますし

自分のお金で自分を支えられる人が大人なら

子役で親の給料より

稼げる子供も大人になります

親になれば大人になるなら

子供を育てられずパチンコ屋の駐車場で

子供を置き去りにする大人も大人になります

この中に大人はどこにいるのでしょうか?

どこから大人になるのでしょうか?

 

僕はこの世界に自分が想像する大人はいない

のだとこの作品を通じて思いました

どんなに年齢を重ねても、お金を稼げても

きっと子供っぽい弱さがなくなることはない

のだと思います

まだ19年しか生きていないので

堂々とは言えませんし

これから考えは変わるかもしれませんが

 

しかし大人になる自覚を持った人が

僕の想像した理想の着ぐるみのチャックを

隠してくれる人はきっといるのだと思います

僕が大人に見える人は

必死に大人でいるんだなと

思いました

 

語りが長くなりましたが

個人的にはやはりいい作品でした

いつまでも大人になれない主人公たちと

変わらない親、変わっていく環境

そこで出会う人々、失う仲間

いろいろなどうしようもない現実のなかで

大切にしなければいけないことに

気付いていく物語は本当に最高です

 

一つわがままを言うなら

櫂と尚人の漫画によって救われた人を

描いてほしかったことくらいです

 

それでは