光のところにいてね
作者 一穂ミチ
出版社 文藝春秋
あらすじ
たった1人の、運命に出会った
古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。
運命に導かれ、運命に引き裂かれる
ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語
⚠️注意⚠️
・あくまで個人の感想です
・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します
感想
本屋大賞が発表されたということで、今年は予想をするために、全作品制覇することに決めたので、まずは何となくあらすじに惹かれた、この作品から読み始めました。
一穂ミチさんの作品はスモールワールド含め全く読んだことはなかったのですが、僕の大好きな凪良ゆう先生のように、BL作家上がりの本屋大賞2連覇の作者様ということでかなり期待値は高かったと思います
結果としては、想像以上にのめりこみハマり倒しております
最初は母親に見知らぬ団地に連れてこられた主人公結珠が、不潔で奇妙な男とあっている間、一人で待っている時、もう一人の主人公果遠に出会います。
医学家庭に生まれ、小学生に上がった段階から毎日習い事に勉強に追われる結珠と、ネグレクトでありながら、ヴィーガンで食べるものと着るものを制限する母を持つ果遠。
お母さんが結珠を連れてくる水曜日の数時間だけ二人で過ごすことで、いつしかお互いを最大の理解者だと思うようになります。
そんな中突然会えなくなった二人がもう一度出会うのは高校の入学式
着てる服も、食べる物も、家庭環境も、父親の有無さえも違う二人を、つなぎとめた運命と愛が織りなす、出会いと別れと再会と別れと再会とそして……の物語
個人的にこの作品のテーマは恋と家族のハードルだと思いました
親が絶対政権をにぎる小学生
少しだけ反抗できるようになったけど、それでも抗いきれない高校生
親から解放され、一人で踏み出せるようになった大人
このひとつひとつの項目の中で誰もが恋をし、誰もが別れを経験します
そんな中で自分の守るべきものと、相手への思い天秤にかけた時に傾き方がどこかで変わる瞬間があると思います
誰かのためではなく自分のためだけを考えられる瞬間
その境地に立ち、すべての制約から放たれた時何を思い、何を考えるのか?
物凄く考えさせられました
暗くてシリアスなテーマではありながら、僕が考えてしまった最悪なシナリオに行くことはなく、お互いがお互いを維持するための別れだけだ要所に組み込まれていきます
二人は一緒にいたいのに、それを引き裂く家族という関係によって二人は2回の出会いと別れを経験します
そして3回目の出会いの時、2人が何を思い何を選ぶのか是非確かめて見てください。