作者 辻村深月
出版社 ポプラ文庫
あらすじ
学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
⚠️注意⚠️
・あくまで個人の感想です
・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します
感想
公開日初日に映画を観に行ってその足で本屋へ行き原作を買いました
原恵一監督、辻村深月原作、制作A1ピクチャーズの時点で、まあ面白いやろな。って思いはありましたが、観てみたら予想外な良さでした。
中学生の鬱屈とした雰囲気といじめとその中のぎくしゃくとした生活の中で
逃げて登校拒否になってしまった主人公の目の前に出てきた不思議なかがみの世界。
そこにいるみんなが学校に通えず、心に闇を抱えてる
そんな皆でなら助け合えるんじゃないかそんな物語。
辻村深月さんらしい伏線もしっかりありながら
青春小説らしい生きにくさもあって、それでいて読みやすい。素晴らしい作品でした。
少し大人っぽい人の中身がなんだかんだ子供っぽかったり
一番子供っぽい子が意外としっかりしてる一面があったり
中学生というキャラの書き方がピカイチに上手いなと思います。
冷たい校舎の時にも思いましたが、これだけのキャラをまとめ上げて
この壮大なストーリを2巻で成立できるのは本当に凄いと思いました
中学生。小学生からガラッと急に変わって、
やることが大幅に増えて一番焦る時期だと思います
勉強しなくちゃ、部活しなくちゃ、恋愛しなくちゃ、
そんなみんなが必死に焦りながら進んでいく生活の中で
学校を休んで、自分だけがずっと進めない世界
永遠に等しい時間を与えられながら、動く勇気は日に日になくなっていく
僕は運が良くて、そうはならず生活を送れましたが
もしそうなっていたら、耐えられる気はしません
でも耐えられなかったとしても、そこには逃げ道はないのだと思います
きっとそれだけでは死ぬこともできないでしょうから
逃げられないのに耐えられない世界
想像するだけでそこは地獄だと思います
その地獄に刺した、鏡の世界は
自分の目で是非確かめて見てください