O.Yの読書感想文

月平均4冊しか読まないにわかですが、自分なりに読んだ本の感想まとめています。

「砂漠」を読んで

砂漠

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作者 伊阪幸太郎

出版社 実業之日本社文庫

あらすじ

仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。
少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。
麻雀に勤(いそ)しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。
一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡で出来ていた――。
明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。

この一冊で世界が変わる、かもしれない。

 

リンク

砂漠 (実業之日本社文庫) | 伊坂 幸太郎 |本 | 通販 | Amazon

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

伊阪幸太郎の中で一番好きな作品という声が

なんだかんだ多いなという印象を持ちながら

読み始めましたが、最初はあることに違和感を持ちました

 

それは伊阪幸太郎にしてはシンプルすぎることです

未来が見えるカカシも出てこなければ

色んな人の人生が少しずつ重なったりせず

春が2階から落ちてきません

 

仙台の大学に入学したいろんなことを俯瞰して考えてしまう主人公北村がいろんな人と出会い、麻雀し、合コンし、ボーリングし、犯罪者を追いかける、特に代わり映えのしない日常が春、夏、秋、冬と4つの季節で展開していく物語

ただ小説ということもあって僕が今過ごすような日常というわけでなくアグレッシブな要素が強いですが物語の中ではかなりシンプルな展開が多くなっていますしまあ現実ではあり得るなというレベルで完結してるのは本当に凄いです

 

じゃあシンプルでつまらない作品なのかというとそういうわけではなく、日常を壊す可能性のある展開が各季節ごとに訪れます。

それを乗り越えるからこそ、ただ彼らが過ごす日常が尊い奇跡に恵まれていて、そんな日常がとても素晴らしことに読んでいくと思います

だからこそただのかけがえのない日常を一生見ていたいと思えるほど面白いです

 

僕もちょうど今大学2年ということもあって彼らの心情にかなり近いというのも結構ハマった理由の一つにあると思います

彼らのように大学に通いながら将来の夢に向かって明確な目標を立てる者、ざっくりした夢を語る者、何も考えていない者など様々な思いと未来を持って大学生活を送ります

色んな事に守られた町のような環境で学生という立場で、この先のすべての責任を課され、保障も制約もない砂漠のような社会に出ることになります

そんな砂漠を前に最後の学生生活、永遠に思えた学生生活があと本当に少しで終わってしまうという現実があるからこそこの生活がもっとかけがえのなくて終わりのあるものだと思えました

 

最後に伊坂幸太郎のあとがきも含めて

個人的にしっかり完結した気がしました

彼らの物語をどこまで見ていられるのかを考えながら是非読んでみてください

砂漠に雪は降りますか?