川のほとりに立つ者は
作者 寺地はるな
出版社 双葉社
あらすじ
カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
⚠️注意⚠️
・あくまで個人の感想です
・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します
感想
精神的疾患など現代の弱さが認められるようになった時代
でも何がダメで、何が良いのか。
定義が曖昧過ぎるせいでぶつかり合ってしまう
そんなコロナ過の不安定な東京の中を描いた
今の現代に一番近い小説
階段から落ちて、意識不明になった
松木の隠していた真実を追っていくことで
各々がいろんな気持ちで隠してきた思いがわかってしまう
その人の気持ちを理解した時何を思うのか?
主人公原田清瀬は正しくそして強い人です。
だから人にも正しさと強さを求めてしまいます。
それは悪いことではないです。
でも弱さが認められやすくなってしまった現代だからこそ、
彼女の意見は少しだけ生きにくい方へと向かっていきます
他者の弱さを認めてあげること
その意味がこの小説にはあったと思います
人は表と裏があるとよく言いますが
本当は多面体であると考えさせられました
人に見せる面と見せない点の二つではなく
この人に見せる面と
その人に見せる面
あの人に見せる面
誰にも見せない面
全員に見せる面
人によって面の数は異なっていて、人の数だけ答えがある
僕が見えているあの人も、あの人が僕に見してるだけの面なのだろう
相手のことを100%理解している気にはならず
相手も考えているんだ
なにかを隠しているんだ
そう思いながら
あの人らしさ。というものだけで人を判断しないようにしたいなと思いました
本屋大賞ノミネート作らしく、かなり読みやすい文章と
テンポの良い展開
しっかりとした力のあるラスト
どれをとっても素晴らしい小説だったと思います
人の弱さを認めること
それが今を生きる上では必要なのかもしれません