O.Yの読書感想文

月平均4冊しか読まないにわかですが、自分なりに読んだ本の感想まとめています。

「ラブカは静かに弓を持つ」を読んで

ラブカは静かに弓を持つ

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作者 安壇美緒

出版社 集英社

あらすじ

武器はチェロ。
潜入先は音楽教室
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

音楽という媒体がどこまでも多様化し、カセットからCD

無断転載からサブスクへと変わってく現代の

きっとその先待ち受けているかもしれない

未来の音楽物語

 

カラオケからカバーライブから動画まで

音楽を使うたびに著作権料を支払うようになった世界

そんな世界で音楽教室の個人練習に著作権料を支払うべきか

という裁判のための証拠を集めるために

音楽教室に送り込まれた主人公は

いつしかその音楽教室に、チェロに、人に

救われるようになっていく

 

人を裏切るためにすべてを偽り

それでもそこに救われた彼は何を裏切り

なにを選ぶのかそういう物語

 

純粋に仕事しかなかった彼が救われた

のはチューバでした

でもきっとチューバだけではなく

そこで出会ったひとやその場所にも

意味があったのだと思う

 

そんな中でなにもなかった彼が

色んなものに満たされていき

救われていく前半から

選択の後半

選択を狭まれていく彼の姿と

求められる残酷な運命

そんな彼の姿に心を動かされる作品でした

 

「音楽著作権

音楽だけでなくアニメ、映画、漫画、小説

いろんな媒体がここ10年でいろんな

著作権が侵食され、被害を受けています

ここ5年でかなりマシになってはきましたが

きっと消えることはないでしょう

 

どこまで規制されるべきなのか、

そう考えるのは簡単ですが、実は被害だけではない

メリットもきっと存在するのだと思います

サブスクが普及し、いろんなアーティストが

注目され、テレビに出たり、ライブハウスでライブしたりしなくても、誰もが好きな

大衆音楽を作らなくても、曲が良くて魅力があれば、成功して、武道館を埋められるようになった世界が来たのはきっと無断転載があったからです

音楽やアニメの切り抜きによって、普通に生きていたら出会うことがなかった人に届くようになったのもきっとこれがあったから、

 

これは全部結果論できっとなくても良かったもの

でももし無断転載がなかったら生まれなかった

と考えると少しだけ怖くなります

これは思ってはいけないのかもしれませんが

ふとこの作品を読んで思いました

 

関係ない話が長くなりましたが

良い作品でした

優しく強くそして信じたものを

守り抜く強さはきっと簡単には持てない

だから何かを切り捨てでも守りぬくものを

見つけられた彼は幸せだったのだと思います

 

 

 

「方舟」を読んで

方舟

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作者 夕木春央

出版社 講談社

あらすじ

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

イムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

本屋大賞受賞のミステリー作品

屍人荘の殺人から最近増えてきた

特殊クローズドサークルミステリーの中でも

最近で一番話題になっていた印象です

 

地下建築を出るために、一人を取り残す必要がある中で

誰を残し見捨てるのか?

9人のために1人を犠牲にしていいのかという

哲学的要素も含まれる序盤から

1人の死亡によって少し崩れ始めます

 

犯人を捜してそいつを生贄にしようという案と

なんとか脱出する方法を考えようという案が

別れていくのです

犯人をみつけてもそいつが本当に生贄になってくれるのか?

そもそも脱出ルートが他にあるのか?

どちらも微妙な中、先送り、先送りにした彼らは

どこへ向かい?地上にたどり着けるのか?

 

このようにミステリーだけでなく、リアルなところも大きく

誰かが残るように言い出すことを期待したり

もし犯人が残ったとしてそれは生き残った時問題にならないのか?という疑問が飛び出したりします

常にタイムリミットが近づく極限状態の中だからこそ

希望を願い、生を望むからこそ人はどこまでも残虐になれる

ある種トロッコ問題のような現場の中でこの作品はある疑問を深めます

「なぜ殺したのか?」

 

犯人は何を思って殺害し、そこまでして何を欲しかったのか

極限状態で自分が生贄に冴えれるかもしれない中でも

人を殺せてしまうほどの何かはいったい何なのか?

その答えがしっかり描かれた素晴らしい作品でした

 

 

 

「川のほとりに立つ者は」を読んで

川のほとりに立つ者は

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作者 寺地はるな

出版社 双葉社

あらすじ

カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。
松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。
「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

精神的疾患など現代の弱さが認められるようになった時代

でも何がダメで、何が良いのか。

定義が曖昧過ぎるせいでぶつかり合ってしまう

そんなコロナ過の不安定な東京の中を描いた

今の現代に一番近い小説

 

階段から落ちて、意識不明になった

松木の隠していた真実を追っていくことで

各々がいろんな気持ちで隠してきた思いがわかってしまう

その人の気持ちを理解した時何を思うのか?

 

主人公原田清瀬は正しくそして強い人です。

だから人にも正しさと強さを求めてしまいます。

それは悪いことではないです。

でも弱さが認められやすくなってしまった現代だからこそ、

彼女の意見は少しだけ生きにくい方へと向かっていきます

他者の弱さを認めてあげること

その意味がこの小説にはあったと思います

 

人は表と裏があるとよく言いますが

本当は多面体であると考えさせられました

人に見せる面と見せない点の二つではなく

この人に見せる面と

その人に見せる面

あの人に見せる面

誰にも見せない面

全員に見せる面

人によって面の数は異なっていて、人の数だけ答えがある

僕が見えているあの人も、あの人が僕に見してるだけの面なのだろう

 

相手のことを100%理解している気にはならず

相手も考えているんだ

なにかを隠しているんだ

そう思いながら

あの人らしさ。というものだけで人を判断しないようにしたいなと思いました

 

本屋大賞ノミネート作らしく、かなり読みやすい文章と

テンポの良い展開

しっかりとした力のあるラスト

どれをとっても素晴らしい小説だったと思います

人の弱さを認めること

それが今を生きる上では必要なのかもしれません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「光のところにいてね」を読んで

光のところにいてね

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作者 一穂ミチ

出版社 文藝春秋

あらすじ

たった1人の、運命に出会った

古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。

運命に導かれ、運命に引き裂かれる
ひとつの愛に惑う二人の、四半世紀の物語

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

本屋大賞が発表されたということで、今年は予想をするために、全作品制覇することに決めたので、まずは何となくあらすじに惹かれた、この作品から読み始めました。

 

一穂ミチさんの作品はスモールワールド含め全く読んだことはなかったのですが、僕の大好きな凪良ゆう先生のように、BL作家上がりの本屋大賞2連覇の作者様ということでかなり期待値は高かったと思います

 

結果としては、想像以上にのめりこみハマり倒しております

 

最初は母親に見知らぬ団地に連れてこられた主人公結珠が、不潔で奇妙な男とあっている間、一人で待っている時、もう一人の主人公果遠に出会います。

医学家庭に生まれ、小学生に上がった段階から毎日習い事に勉強に追われる結珠と、ネグレクトでありながら、ヴィーガンで食べるものと着るものを制限する母を持つ果遠。

お母さんが結珠を連れてくる水曜日の数時間だけ二人で過ごすことで、いつしかお互いを最大の理解者だと思うようになります。

そんな中突然会えなくなった二人がもう一度出会うのは高校の入学式

 

着てる服も、食べる物も、家庭環境も、父親の有無さえも違う二人を、つなぎとめた運命と愛が織りなす、出会いと別れと再会と別れと再会とそして……の物語

 

個人的にこの作品のテーマは恋と家族のハードルだと思いました

 

親が絶対政権をにぎる小学生

少しだけ反抗できるようになったけど、それでも抗いきれない高校生

親から解放され、一人で踏み出せるようになった大人

このひとつひとつの項目の中で誰もが恋をし、誰もが別れを経験します

そんな中で自分の守るべきものと、相手への思い天秤にかけた時に傾き方がどこかで変わる瞬間があると思います

誰かのためではなく自分のためだけを考えられる瞬間

その境地に立ち、すべての制約から放たれた時何を思い、何を考えるのか?

物凄く考えさせられました

 

暗くてシリアスなテーマではありながら、僕が考えてしまった最悪なシナリオに行くことはなく、お互いがお互いを維持するための別れだけだ要所に組み込まれていきます

二人は一緒にいたいのに、それを引き裂く家族という関係によって二人は2回の出会いと別れを経験します

そして3回目の出会いの時、2人が何を思い何を選ぶのか是非確かめて見てください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変な絵」を読んで

変な絵

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作者 雨穴

出版社 双葉社

あらすじ

あなたも、何かがおかしい9枚の絵の「謎」が解けますか? とあるブログに投稿された『風に立つ女の絵』、消えた男児が描いた『灰色に塗りつぶされたマンションの絵』、山奥で見つかった遺体が残した『震えた線で描かれた山並みの絵』……。
いったい、彼らは何を伝えたかったのか――。9枚の奇妙な絵に秘められた衝撃の真実とは!? その謎が解けたとき、すべての事件が一つに繋がる!
今、最も注目を集めるホラー作家が描く、戦慄の国民的スケッチ・ミステリー!

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

前作「変な家」と同じように、雨穴さんのブログテイストの作品かな

って思いながら読み始めましたが、今作はそうではなく

しっかり一つの物語として完成しており、

奇妙な絵が関係した3つの短編集になっています

 

全く関係なさそうな3つの短編はある一つの事実によって一つにつながります。

前作では、特殊な間取りからの急展開の真実公開だったのに対し

今作はしっかりとしたヒントが置いてあるため

推理ミステリーとしての楽しさも感じることもできます

 

不思議なブログに隠された、最悪のシナリオ

行方不明になった男の子と不思議な母親

殺された先生を追って、当時の生徒が真相を追う物語

何が関係して、何が起こったのか

是非考えながら、読んでみてください

 

最近、「真相をお話しします」も並行して

読んだりしているのですが

最近の売れ筋の中で軽く読めてちゃんとびっくり要素のある

ミステリーみたいな、作品がトレンドの一つになっているのだな

と改めて思いました

 

YouTubeの切り抜きが流行ったり、ファスト映画が流行ったり

敷居が低くて、すぐに楽しめる

小説にもついに降りてきたなという感じがします

しかしジャンルとして売れているというだけなので

これからもいろんなジャンルの作品は続いていくと思いますので

いろんな作品を楽しんで読書していきたいです

 

 

 

 

 

「かがみの孤城」を読んで

かがみの孤城

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作者 辻村深月

出版社 ポプラ文庫

あらすじ

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

公開日初日に映画を観に行ってその足で本屋へ行き原作を買いました

原恵一監督、辻村深月原作、制作A1ピクチャーズの時点で、まあ面白いやろな。って思いはありましたが、観てみたら予想外な良さでした。

 

中学生の鬱屈とした雰囲気といじめとその中のぎくしゃくとした生活の中で

逃げて登校拒否になってしまった主人公の目の前に出てきた不思議なかがみの世界。

そこにいるみんなが学校に通えず、心に闇を抱えてる

そんな皆でなら助け合えるんじゃないかそんな物語。

 

辻村深月さんらしい伏線もしっかりありながら

青春小説らしい生きにくさもあって、それでいて読みやすい。素晴らしい作品でした。

 

少し大人っぽい人の中身がなんだかんだ子供っぽかったり

一番子供っぽい子が意外としっかりしてる一面があったり

中学生というキャラの書き方がピカイチに上手いなと思います。

冷たい校舎の時にも思いましたが、これだけのキャラをまとめ上げて

この壮大なストーリを2巻で成立できるのは本当に凄いと思いました

 

中学生。小学生からガラッと急に変わって、

やることが大幅に増えて一番焦る時期だと思います

勉強しなくちゃ、部活しなくちゃ、恋愛しなくちゃ、

そんなみんなが必死に焦りながら進んでいく生活の中で

学校を休んで、自分だけがずっと進めない世界

永遠に等しい時間を与えられながら、動く勇気は日に日になくなっていく

 

僕は運が良くて、そうはならず生活を送れましたが

もしそうなっていたら、耐えられる気はしません

でも耐えられなかったとしても、そこには逃げ道はないのだと思います

きっとそれだけでは死ぬこともできないでしょうから

逃げられないのに耐えられない世界

想像するだけでそこは地獄だと思います

 

その地獄に刺した、鏡の世界は

ユートピアディストピアか?

自分の目で是非確かめて見てください

 

 

 

 

 

「砂漠」を読んで

砂漠

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作者 伊阪幸太郎

出版社 実業之日本社文庫

あらすじ

仙台市の大学に進学した春、なにごとにもさめた青年の北村は四人の学生と知り合った。
少し軽薄な鳥井、不思議な力が使える南、とびきり美人の東堂、極端に熱くまっすぐな西嶋。
麻雀に勤(いそ)しみ合コンに励み、犯罪者だって追いかける。
一瞬で過ぎる日常は、光と痛みと、小さな奇跡で出来ていた――。
明日の自分が愛おしくなる、一生モノの物語。

この一冊で世界が変わる、かもしれない。

 

リンク

砂漠 (実業之日本社文庫) | 伊坂 幸太郎 |本 | 通販 | Amazon

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

伊阪幸太郎の中で一番好きな作品という声が

なんだかんだ多いなという印象を持ちながら

読み始めましたが、最初はあることに違和感を持ちました

 

それは伊阪幸太郎にしてはシンプルすぎることです

未来が見えるカカシも出てこなければ

色んな人の人生が少しずつ重なったりせず

春が2階から落ちてきません

 

仙台の大学に入学したいろんなことを俯瞰して考えてしまう主人公北村がいろんな人と出会い、麻雀し、合コンし、ボーリングし、犯罪者を追いかける、特に代わり映えのしない日常が春、夏、秋、冬と4つの季節で展開していく物語

ただ小説ということもあって僕が今過ごすような日常というわけでなくアグレッシブな要素が強いですが物語の中ではかなりシンプルな展開が多くなっていますしまあ現実ではあり得るなというレベルで完結してるのは本当に凄いです

 

じゃあシンプルでつまらない作品なのかというとそういうわけではなく、日常を壊す可能性のある展開が各季節ごとに訪れます。

それを乗り越えるからこそ、ただ彼らが過ごす日常が尊い奇跡に恵まれていて、そんな日常がとても素晴らしことに読んでいくと思います

だからこそただのかけがえのない日常を一生見ていたいと思えるほど面白いです

 

僕もちょうど今大学2年ということもあって彼らの心情にかなり近いというのも結構ハマった理由の一つにあると思います

彼らのように大学に通いながら将来の夢に向かって明確な目標を立てる者、ざっくりした夢を語る者、何も考えていない者など様々な思いと未来を持って大学生活を送ります

色んな事に守られた町のような環境で学生という立場で、この先のすべての責任を課され、保障も制約もない砂漠のような社会に出ることになります

そんな砂漠を前に最後の学生生活、永遠に思えた学生生活があと本当に少しで終わってしまうという現実があるからこそこの生活がもっとかけがえのなくて終わりのあるものだと思えました

 

最後に伊坂幸太郎のあとがきも含めて

個人的にしっかり完結した気がしました

彼らの物語をどこまで見ていられるのかを考えながら是非読んでみてください

砂漠に雪は降りますか?