O.Yの読書感想文

月平均4冊しか読まないにわかですが、自分なりに読んだ本の感想まとめています。

「変な家」を読んで

変な家

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作者 雨穴

出版社 飛鳥新社

あらすじ

謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋----
間取りの謎をたどった先に見た、
「事実」とは!?

知人が購入を検討している都内の中古一軒家。
開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、
間取り図に「謎の空間」が存在していた。

知り合いの設計士にその間取り図を見せると、
この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が
存在すると言う。

間取りの謎をたどった先に見たものとは......。

不可解な間取りの真相は!? 
突如消えた「元住人」は一体何者!? 

本書で全ての謎が解き明かされる!

 

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変な家 | 雨穴 |本 | 通販 | Amazon

 

 

元記事

omocoro.jp

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

まずこの作品が気になった方は

元記事の方を見ることをお勧めします

これを見て買いたいなと思えば買えばいいし

これでしっかり完結してるしいいかなと思えば買う必要はないと思います

 

 

本作はオモコロの雨穴さんの記事の

本編の記事で完成しているものに

補足や追加情報を追っていくストーリーに

なっていてフィクションではありますが

本当にオモコロの雨穴さんの記事を

そのまま本にした文体で書かれています

えぐい内容や突拍子もない内容で

ひきつけられる記事を書かれている方という

のも相まって本当に2時間くらいで

すらっと読めてしまいます

 

あらすじは語れば語るほどネタバレになるので

深くは語りませんが不思議な間取りに

隠された衝撃な真実が明るみになり

最後にその真実の信憑性があがってしまう

というのが記事までの内容で

その先の本の内容は

なぜその間取りに隠れた事件が起こってしまったのか

この住人の元住人はどんな人なのか

というのがわかっていくという内容です

正直記事の時点で完璧に完成された作品なので

 

個人的には最後の章は少し飛躍しすぎと感じましたし

そっち行くんかいという感じではあったのですが

比較的ライトに読めてほどよく面白い

作品で売れてる理由はよくわかるな思います

 

深くて考えることがある小説ではなく

何も考えず軽く本を読みたいなという方には

オススメです

 

雨穴さんの他の記事もかなり面白いので

もしこの作品を面白いと思ったのなら

他の記事も読んでみるといいと思います

 

雨穴さんの最新のオススメ記事

omocoro.jp

 

それでは

「凍りのくじら」を読んで

凍りのくじら

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作者 辻村深月

出版社 講談社文庫

あらすじ

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすとき――。

 

リンク

凍りのくじら (講談社文庫) | 辻村 深月 |本 | 通販 | Amazon

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

SFを少し不思議だといった藤子・F・不二雄先生に影響された主人公理帆子が周りの人間のことを

少しナントカと名称していきます

 

少し不在

少し不揃い

少し不幸など

少し○○という感じで

自分の身近な人物に名をつける

主人公の母は病院に入院しています

写真家の父は失踪し行方も分からない

彼女は母の死によって本当に一人に

なってしまいます

そんな不安定な時期に

二人の人物が彼女の生活を侵食してきます

 

一人は若尾大紀という主人公の元カレです

彼は司法浪人中であり、

最初は彼に少し不自由と名付けるくらい

純粋で何にも流さることなく

それでいて自分を特別と信じて疑わない人物

そのため少しずつ人を馬鹿にしている彼に

人を必要とされることに喜ぶを持っていました

しかし彼と別れてまた会った時の

彼に理帆子が名付けたのは少し腐敗でした

そんな彼に依存しながら

彼がどんどん沼に落ちていく姿を

追っていくことになります

 

もう一人は理帆子に写真のモデルを頼んだ別所あきらという一つ学年が上の先輩です

彼とは親の境遇が似ていたり彼女を受け入れてくれる

所から彼への興味を徐々に強めていきます

少しずつ理帆子に寄り添い展開を助けながら

ひどく干渉してくることはありません

そんな彼に惹かれながら恋愛観を意識することなく

独特な距離感から中々進行していきません

 

この作品のまず恐ろしいところは

自分が若尾の腐敗を楽しんでる感じるとこでした

人によっては何も感じないのかもしれませんが

僕は正直若尾の腐敗を楽しみに読んでいたと言っても過言ではないほどどっぷり侵食されていたと思います

少し腐敗がどこまで腐敗していくのか

というのも個人的に大好きでした

若尾がどんどん落ちてほしいと思いながら

理帆子の生活に侵食してきてほしくない

という矛盾した感情が読みながらずっとありました

 

もう一つはドラえもんとの関係性です

この作品の章タイトルは全部ドラえもんの道具になっています

このように作中でその話を象徴する道具を理帆子が言います

その道具が出てきた回はこういう回でこういうことがあって最後はこうなる

そうは言いつつこの世界はドラえもんはいないし、ポッケもないし、道具もないです

こういう道具があると言いつつ

それを欲しがるわけではない

救いのない世界でも道具のない救いが

そこにはあったのだと考えるとかなり感慨深くなります

母や父を救う道具が出てこないことも

また深いところだなと思いました

 

残酷な世界でさらに理帆子を

追い詰める出来事が起きながら

物語の世界は救ってくれない

世界が救うのではなく自分が自分を救う物語だってのだと思います

最後のラストこれを幸せだと思えることが一番救いなのだと思いました

あなたはドラえもんの道具で何が一番欲しいですか?

「栞と嘘の季節」を読んで

栞と嘘の季節

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作者 米澤穂信

出版社 集英社

あらすじ

猛毒の栞をめぐる、幾重もの嘘。

高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。
ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。
小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。
持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。
そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。
誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか……。
「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。
直木賞受賞第一作は、著者の原点とも言える青春ミステリ長編!

 

リンク

栞と噓の季節 | 米澤 穂信 |本 | 通販 | Amazon

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

古典部シリーズ、小市民シリーズなど

米澤穂信の青春ミステリー作品の中の一つ

本と鍵の季節の続編

 

本と鍵の季節自体が僕は元々大好きだったので

その続編ということでかなり楽しみにしてました

最初に前述しておきますが前作(本と鍵の季節)の

ラスト松倉がどういう選択したのかというのには

メインで触れられることはありません

松倉としての回答らしきものはわかりますが

そもそもこの物語が嘘がテーマとなっているため

それがあっているのかもわかりませんし

本当に少し触れられるくらいなので

もしそれが気になっているという方は

気を付けてください

 

前作が本と鍵がテーマであったように

今作も栞と嘘がテーマとなっています

人を殺すことができるかもしれない栞

に翻弄されていく高校生たちの葛藤と

登場人物のほとんどが意味のある嘘をつき

知られたくない、掘り返されたくない

様々な理由で嘘をつきます

それが事件解決のヒントを意図せず

隠してしまったりして

ミステリーとはまた違った雰囲気が

常に流れていきます

 

そのため高校生のむしゃくしゃした感情が

前作よりピックアップされていて

前作が1話ごとの短編集だったのに対し

今回は1話の長編というもあり

前作よりも深く重いテーマやトリックが

しっかりと描かれています

 

どことなくもやもやとした高校生活

の中で切り札を持つことで少しだけ楽に

なるという感覚が自分のなかでもあって

中学生の自分の病んでるときに

特に殺したい人がいないのに

デスノートが欲しかったり時期と重なって

かなり深入りして読みました

 

去年黒牢城で夢想した米澤穂信先生ですが

読んだことのない人は是非青春系の作品も

読んでみてください

個人的に栞と嘘の季節は前作ほどの感動はないものの

かなり好きな作品でした

それでは

 

 

 

「殺戮に至る病」を読んで

殺戮に至る病

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作者 我孫子武丸

出版社 講談社文庫

あらすじ

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

主人公の最低な猟奇殺人の過程

犯人と思われる息子に怯える母親

犯人に知り合いを殺された刑事の

3人の物語が交互に描かれます

 

主人公の殺人過程では死体に神秘感じてしまった

犯人の残虐な犯行の過程が鮮明に表現されています

エロ、グロなどの表現が得意ではない人は読むことを

オススメしません

しかしこの表現の残忍さや異常さは間違いなく

他の作品ではないポイントになっているので

残忍なものに無意識的に目を引かれる感覚が

ある人には絶対に面白いと思います

 

息子を犯人と疑う母親の展開では

一般的な中流家庭の専業主婦の葛藤が描かれます

昔から息子の成長を気にし、悪い考えをしないように

悪い性癖を持たないように迷走する過去から

もしかして今の猟奇的連続殺人事件の犯人が

本当に息子なのではないかと思われる証拠を

見つけ少しずつ世界が壊れていきます

 

教育に無関心な夫に怒りを覚えながら

最悪な状況を一人で何とかしようとする

過程が物凄く良く書かれています

 

そのまともではない感情が錯綜しながら

どこか非現実感を感じない感じが

物凄く怖いです

 

最後に犯人に知り合いを殺された刑事の話は

個人的には微妙でした

これについて語るとほぼネタバレなので

あまり言うことはないのですが

殺された被害者の妹と行動を

共にするのですがそこに伴う

合理性がないように感じました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「GOTH」を読んで

GOTH

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作者 乙一

出版社 角川文庫

夜の章あらすじ

連続殺人犯の日記帳を拾った森野夜は、次の休日に未発見の死体を見物に行こうと「僕」を誘う…。人間の残酷な面を覗きたがる者〈GOTH〉を描き本格ミステリ大賞に輝いた乙一出世作「夜」を巡る短篇3作を収録

僕の章あらすじ

世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか? 「僕」に焦点をあてた3篇を収録。

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

猟奇的殺人鬼に興味があり、

死について特殊な思いを持った

主人公僕と

自殺願望がありながら死ぬことはなく

主人公と何か通じ合うもののある

ヒロイン森野夜

二人が織りなす狂気ミステリー

 

作者乙一さんがあとがきでで書いた通り

ライトノベルとして書かれた作品です

そのため物凄くエグめのグロ描写がある割には

かなり読みやすい小説になっています

しかしかなりグロイ描写が多いので

そういうのが嫌な人はやめたほうが良いと思います

 

展開は前後編両方3話の物語で構成され

最後の一章が少し仕掛けのある物語になっています

主人公たちは猟奇的殺人鬼の犯行を

追って犯人がどうして犯行を行うのか?

どう犯行を行っているのか?

犯人は誰なのか?

というのを追及して到達するのですが

それを警察に通報したり

犯人に詰め寄ったりするわけではなく

ただ見ていたり

なんなら犯人の犯行に協力することもあります

 

しかしある一点において主人公は

犯人に近づき、忠告をします

その一点が何なのかは是非本編でお確かめください

 

「冷たい校舎の時は止まる」を読んで

冷たい校舎の時は止まる

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作者 辻村深月

出版社 講談社文庫

あらすじ

ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そして他には誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友(クラスメート)の名前が思い出せない。死んだのは誰!? 誰もが過ぎる青春という一時代をリアルに切なく描いた長編傑作!

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

鏡の孤城でも読もうかなと

最近ふと思ったのですが

そういえば12月にアニメ映画公開を

思い出してなんだかんだ読んでなかった

こっちを読むことにしました

 

かなり昔の作品なのですが

あの辻村深月さんの作品ということで

設定も面白くてミステリー要素もあり、

比較的いろんな人が楽しめると思います

 

内容は閉じ込められた学校の中で

全員が忘れてしまったあの日自殺した

学生を探すという

綾辻行人のAnotherのような内容みたいですが

ただ展開が進んでいくのではなく

ひとりひとりの生徒に過去に何があったのか

あの学際の日にどういう気持ちで挑んだのか

というのが少しずつわかっていきます

 

高校3年生

これから大学受験を控えたピリピリと

した独特な環境の中巻き起こっていく

いじめ、事件、恋愛、嫉妬

何が、誰を追い詰めて

この現象を引き起こしたのか?

そして誰があの文化祭で亡くなったのか?

この部分がかなり繊細に描かれているので

是非読んでほしいです

 

高校の3年の期間というのは

今思い返しても、一番いろんなことを

知って、失敗して、傷つけて、傷つけられて

一番心が成長した期間だったと思います

この3年で自分の人格が形成されるといっても

過言ではないと思います

 

そんな3年間の集大成にして

この後の人生の価値をも変えてしまう

受験期という不安定の季節というのも

この作品のアクセントになっています

勉強は必ず正解がありますが

人間関係には必ず正解がありません

一番正解を求め続けないといけない

この受験期にこんなことに巻き込まれて

僕がホストの立場でもきっと時間を

止めてしまったのだと思います

 

ミステリー要素だけでなく

こういった独特の小説っぽい

心象表現も巧に描かれているので

時間が空いて読む本が決まらない人が

いるなら是非

 

あなたの大切な人の一瞬を見逃さないように

 

 

 

 

 

「黒猫館の殺人」を読んで

黒猫館の殺人

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作者 綾辻行人

出版社 講談社文庫

あらすじ

大いなる謎を秘めた館、黒猫館。火災で重傷を負い、記憶を失った老人・鮎田冬馬(あゆたとうま)の奇妙な依頼を受け、推理作家・鹿谷門実(ししやかどみ)と江南孝明(かわみなみたかあき)は、東京から札幌、そして阿寒へと向かう。深い森の中に建つその館で待ち受ける、“世界”が揺らぐような真実とは!? シリーズ屈指の大仕掛けを、読者(あなた)は見破ることができるか?

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

十角館の殺人から始まった

綾辻行人の館殺人シリーズの第6作目

時計館の殺人から再開した河南くんも

同行し、島田さんと一緒に今回の事件に

挑みます

 

今作は前作の館シリーズで表すなら

迷路館の殺人のような形式で進んでいきます

迷路館の殺人では起きた事件を

ベースに書かれた小説の奇妙なところを

追っていくと、事実が見えてくるという

作品でしたが

今回の黒猫館では記憶を失ってしまった人の

日記の内容とそれを読んだ

島田と河南が手掛かりを自分の足で

探していくという作品になっています

 

ヒントはどちらにも交互に出てきて

その二つが繋がることで

衝撃の事実がわかるという作品になっています

 

そのため今作は水車館や時計館のような感じの

ザ・ミステリーという感じではなく

伏線のしっかりとした

びっくり小説の印象が強いです

誰が犯人か?何が起きたのか?

を考えていくとミステリーの感覚を

楽しむこともできますし

ただ騙されたいという人にも

しっかり楽しめれると思います

 

次はようやく暗黒館ですね

僕は長くて続編の多い小説があまり

得意ではないので読み切れる自信が

あまりないですが何とか読もうと思います

それでは