O.Yの読書感想文

月平均4冊しか読まないにわかですが、自分なりに読んだ本の感想まとめています。

「殺戮に至る病」を読んで

殺戮に至る病

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作者 我孫子武丸

出版社 講談社文庫

あらすじ

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー

 

⚠️注意⚠️

・あくまで個人の感想です

・ネタバレをできるだけ最低限に押さえる努力はしていますしこの先を読んだあとでも面白く読めるようにしているつもりですが一切ネタバレされたくない人は読まないことを推奨します

 

感想

主人公の最低な猟奇殺人の過程

犯人と思われる息子に怯える母親

犯人に知り合いを殺された刑事の

3人の物語が交互に描かれます

 

主人公の殺人過程では死体に神秘感じてしまった

犯人の残虐な犯行の過程が鮮明に表現されています

エロ、グロなどの表現が得意ではない人は読むことを

オススメしません

しかしこの表現の残忍さや異常さは間違いなく

他の作品ではないポイントになっているので

残忍なものに無意識的に目を引かれる感覚が

ある人には絶対に面白いと思います

 

息子を犯人と疑う母親の展開では

一般的な中流家庭の専業主婦の葛藤が描かれます

昔から息子の成長を気にし、悪い考えをしないように

悪い性癖を持たないように迷走する過去から

もしかして今の猟奇的連続殺人事件の犯人が

本当に息子なのではないかと思われる証拠を

見つけ少しずつ世界が壊れていきます

 

教育に無関心な夫に怒りを覚えながら

最悪な状況を一人で何とかしようとする

過程が物凄く良く書かれています

 

そのまともではない感情が錯綜しながら

どこか非現実感を感じない感じが

物凄く怖いです

 

最後に犯人に知り合いを殺された刑事の話は

個人的には微妙でした

これについて語るとほぼネタバレなので

あまり言うことはないのですが

殺された被害者の妹と行動を

共にするのですがそこに伴う

合理性がないように感じました